FASCIA  膜組織のネットワーク
アイダ・ロルフは、「身体はバラバラのパーツの寄せ集めではなく、途切れのない組織のネットワークである」
という見解を、長年にわたる研究により導き出しました。アイダは中でも、全身に「三次元のクモの巣」の様に
張り巡らされた、「fascia(ファシャ)」と呼ばれる膜組織のネットワークに着目しました。



fasciaはすべての筋肉・内臓・骨・血管・脳・神経等、身体のあらゆる構成要素を包み込み、それぞれの器官がふさわしい
場所に位置するよう繋ぎ留めています。アイダはこの膜組織のネットワークのことを「姿勢の器官」と呼び、私たちの全身が
fasciaという支持器官によって支えられているという仕組みを見出しました。

全身の「膜」の引っ張り合いによって骨格構造に力の釣り合いが生じ、私たちは重力に対して絶え間なくバランスを取り、
姿勢を維持しています。「骨」は「膜」のネットワークの中で身体が分節機能する為に各部の間隔を保つ「スペーサー」とし
ての役割を担っています。人間の支持器官が「骨」ではなく「膜」であるとしたこの見識により、「身体は柔軟で変化し易い」
というイメージを私たちは描くことができます。

コラーゲンとエラスティンを含むこのfasciaは、粘土の様に「変形してしまう性質(可塑性:plasticity)」と、
ゴムの様に「元の形に戻ろうとする性質(弾力性:elasticity)」という、2つの特性を併せ持っています。

慢性的な動作や姿勢の癖や、ストレス・ケガ・病気などによってfasciaはその水分を失い、粘性を増すことで固着し、弾力性
を失い、硬く縮んだり、他の膜と癒着して動きに制限を与えます。そして、膜が全身を覆うネットワークである以上、一部の
「歪み」は身体全体の構造に影響を及ぼし、各器官の機能低下を引き起こすこととなります。

ロルファーは指や掌や前腕などを使って、十分に時間をかけながら、クライアントの硬くなったfasciaに適度な「圧+熱+α」
を加えてその潤いを取り戻し、可塑性に働きかけることで本来の弾力性を引き出してゆきます。
そして、筋肉・腱・靭帯などの柔組織を本来あるべき位置に戻し、身体全体の構造をバランスさせていきます。

こうしたアプローチによって、癒着した膜同士の間にも潤いが生まれ、筋肉は滑らかに動き、組織や器官の間にも十分な
スペースが確保され、血液・体液の循環、栄養の消化吸収、老廃物の排出などもスムーズに行われるようになります。




 SOUP  スープとしてのファシャ




具材の入ったスープの様に、fasciaは筋肉・骨・内臓等の周りを満たしています。
各具材は「スープ」を介してつながっている為、そこに調味料を加えると全体の
味が変化します。同様に、膜組織全体に働きかけるロルフィングはカラダの一部
だけではなく、カラダ全体に作用します。足へのタッチで首が変化したり、掌への
ワークで胸が変化するのは、この身体全体の「つながり」の為です。





                 

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